北米のハーブ製品(サプリ)の半数は偽物?
ハーブ製品を使ってられる方もおられると思います。これは北米の話ですが、日本ではどうでしょうか。新しい技術(DNAバーコーディング)を使って北米で売られているハーブ製品(12会社の44製品、30種のハーブ)を分析した報告です(BMC Medicine 2013)。
DNAバーコーディングは、特定の遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を用い、標準参考物質のライブラリーと比較して生物種を同定する技術です。
中には健康被害が予想される製品もありました。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の製品で、センナ(下剤)しか含まれていない製品がありました。ナツシロギクが混入している製品がありました(ナツシロギク(風邪のハーブ)は、副作用が多いハーブです)。クルミが混入している製品もありました(ハーブ園の区切りに植えているクルミが混入した可能性大です。ナッツアレルギーのある人には危険です)
平成25年11月22日
DNAバーコーディングは、特定の遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を用い、標準参考物質のライブラリーと比較して生物種を同定する技術です。
(1) 不純物が混入している製品が59%ありました(ラベルにない植物種を含む割合)。
(2) 本物のハーブが入っている製品は48%しかありませんでした(ラベルどおりの植物種を含む割合)。
(3) 本物のハーブを含む製品の1/3はラベルにない不純物や賦形剤を含んでいました。
(4) 代用品のハーブが使われている製品は68%ありました(代用の植物種を含む割合)。
(5) 代用や不純物がなく、ラベル通りの内容の製品は2会社だけでした。
中には健康被害が予想される製品もありました。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の製品で、センナ(下剤)しか含まれていない製品がありました。ナツシロギクが混入している製品がありました(ナツシロギク(風邪のハーブ)は、副作用が多いハーブです)。クルミが混入している製品もありました(ハーブ園の区切りに植えているクルミが混入した可能性大です。ナッツアレルギーのある人には危険です)
平成25年11月22日
果物、果糖、砂糖について (米国糖尿病学会の新しい栄養勧告)
先々月、果物の話題(果物の種類について、果物と糖尿病)を提供しました。米国糖尿病学会から新しい栄養勧告が発表されましたので、その中から、果糖、砂糖の項目を追加紹介します(Diabetes Care 2013)。
この勧告では 果糖を2種類に分けています。
「果物に代表される遊離果糖は、同カロリーの砂糖やデンプンに比べて血糖コントロールを改善する。摂取量が全カロリーの12%超でない限り、中性脂肪増加を来さない。」 → つまり、カロリーに注意すれば果物の強い制限は不要でしょう。
「一方で砂糖、果糖ブドウ糖液糖を含む飲料は体重増加をきたし易く、メタボリックシンドロームの原因になりやすい。」→ つまり、清涼飲料水は控えるのが賢明です。
砂糖の項目では、「食品中のデンプンを砂糖に変えても、カロリーの35%以内なら血糖や脂質に影響を与えない。しかし砂糖を含む食品はカロリーの高い食品が多く、カロリーの注意と「健康的な食事の摂り方」から外れない注意が必要。」→ つまり、砂糖は健康的食事から外れる食品に多く使われていて注意が必要ですが、通常の調理に使う分はそれほど神経質になる必要はなさそうです。
DASH食についてですが、「糖尿病患者におけるDASH食はあまりエビデンスがない。小研究では、HbA1c、血圧、その他の心血管系リスクの減少が認められている」となっています(DASH食:果物、野菜、低脂肪乳製品、全粒穀類、トリ肉、魚、ナッツに重点)。
平成25年11月11日
この勧告では 果糖を2種類に分けています。
(1) 果物にみられるような自然界の遊離果糖、
(2) 砂糖、果糖ブドウ糖液糖
「果物に代表される遊離果糖は、同カロリーの砂糖やデンプンに比べて血糖コントロールを改善する。摂取量が全カロリーの12%超でない限り、中性脂肪増加を来さない。」 → つまり、カロリーに注意すれば果物の強い制限は不要でしょう。
「一方で砂糖、果糖ブドウ糖液糖を含む飲料は体重増加をきたし易く、メタボリックシンドロームの原因になりやすい。」→ つまり、清涼飲料水は控えるのが賢明です。
砂糖の項目では、「食品中のデンプンを砂糖に変えても、カロリーの35%以内なら血糖や脂質に影響を与えない。しかし砂糖を含む食品はカロリーの高い食品が多く、カロリーの注意と「健康的な食事の摂り方」から外れない注意が必要。」→ つまり、砂糖は健康的食事から外れる食品に多く使われていて注意が必要ですが、通常の調理に使う分はそれほど神経質になる必要はなさそうです。
DASH食についてですが、「糖尿病患者におけるDASH食はあまりエビデンスがない。小研究では、HbA1c、血圧、その他の心血管系リスクの減少が認められている」となっています(DASH食:果物、野菜、低脂肪乳製品、全粒穀類、トリ肉、魚、ナッツに重点)。
平成25年11月11日
米国のEPA製剤
日本では以前からEPA製剤が発売されていますが、これは米国の話題です(EPA:エイコサペンタエン酸、 ω3系統の多価不飽和脂肪酸、高脂血症の薬です)。
スタチン系薬剤でコレステロールを十分に下げてしまうと、たとえば高中性脂肪血症の薬であるフィブラート系薬剤やナイアシンは際立った効果が示されなくなってしまいます。そのため新薬の承認に最終エンドポイントを用いた評価が必要と考えたのです。米国の承認審査は厳しいですね。
日本ではJELIS試験という研究があり、その研究ではEPA製剤で主要心血管イベント(MACE)が2割減少しています(3.5%→2.8%)。この数字を高いとみるか、低いとみるかは人によって異なるかもしれません。(JELISで使われた製剤はエパデール、エパデールSです)。アマリン社でも同様の成績が出ることを期待します。
平成25年10月25日
JELIS試験がFDAで考慮されなかった理由ですが、オープンラベル試験であること(厳格な試験でない)、併用されているスタチンが低用量であること(不十分)。この2点がJELIS試験低評価の理由のようです(NEJM 2014)
米国FDAは昨年7月にEPA製剤を高度(中性脂肪が500mg/dl超)の高中性脂肪血症の治療に認可しました。認可したEPA製剤はアイルランドのアマリン社が製造する半合成EPA製剤です。同社は中等度(中性脂肪が200-499mg/dl)の高中性脂肪血症にも使えるよう、適応の拡大を申請しましたが、FDAは圧倒的多数でこれを否決しました。
FDAの見解は、「中性脂肪を下げることは間違いない。しかし、心血管系イベントが実際に抑制されるかデータがない。従って、今回の認可を拒否する」です。
スタチン系薬剤でコレステロールを十分に下げてしまうと、たとえば高中性脂肪血症の薬であるフィブラート系薬剤やナイアシンは際立った効果が示されなくなってしまいます。そのため新薬の承認に最終エンドポイントを用いた評価が必要と考えたのです。米国の承認審査は厳しいですね。
日本ではJELIS試験という研究があり、その研究ではEPA製剤で主要心血管イベント(MACE)が2割減少しています(3.5%→2.8%)。この数字を高いとみるか、低いとみるかは人によって異なるかもしれません。(JELISで使われた製剤はエパデール、エパデールSです)。アマリン社でも同様の成績が出ることを期待します。
平成25年10月25日
JELIS試験がFDAで考慮されなかった理由ですが、オープンラベル試験であること(厳格な試験でない)、併用されているスタチンが低用量であること(不十分)。この2点がJELIS試験低評価の理由のようです(NEJM 2014)
DPP-4阻害剤は心血管系イベントを増やさない、減らさない
ジャヌビア、グラクティブ(シタグリプチン)が心血管系イベントを減少させないことを紹介しました(H25/6/19)が、ネシーナ(アログリプチン)、オングリザ(サキサグリプチン)も同様に心血管系イベントを改善しないことが明らかになりました(NEJM 2013)。
DPP-4阻害剤に大血管合併症の減少を期待していた人には残念ですが、心血管系イベントを増やさないことが確認され、安心して使えることがわかりました。ただオングリザで心不全による入院が増えていました。これについては、本当に意味のある増加かどうか、次の確認研究が必要です。
両研究とも実薬群の方がHbA1cが改善しています。HbA1cの差が0.3%と小さく、短期間の研究ということもありますが、HbA1cが下がっても心血管イベントは変わらないようです。心血管イベントを減らすには、血圧や脂質異常のコントロールが大切です。
なお両研究ともDPP-4阻害剤で懸念される膵炎、膵癌は増えていませんでした。
平成25年10月23日
オングリザの研究は、16,492人の糖尿病患者を平均2.1年観察しています。主要エンドポイントは心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳梗塞です。ネシーナの研究は、5,380人の心筋梗塞直後の糖尿病患者を平均18ヶ月観察しています。主要エンドポイントは心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳梗塞です。両研究とも実薬群とプラセーボ(偽薬)群を比較し、両群間で心血管系イベントに差がありませんでした。
DPP-4阻害剤に大血管合併症の減少を期待していた人には残念ですが、心血管系イベントを増やさないことが確認され、安心して使えることがわかりました。ただオングリザで心不全による入院が増えていました。これについては、本当に意味のある増加かどうか、次の確認研究が必要です。
両研究とも実薬群の方がHbA1cが改善しています。HbA1cの差が0.3%と小さく、短期間の研究ということもありますが、HbA1cが下がっても心血管イベントは変わらないようです。心血管イベントを減らすには、血圧や脂質異常のコントロールが大切です。
なお両研究ともDPP-4阻害剤で懸念される膵炎、膵癌は増えていませんでした。
平成25年10月23日