配偶者が糖尿病なら、糖尿病リスクが増える
2型糖尿病の発症には体質(遺伝)と生活習慣が強く影響します。夫婦は生物学的に関連はありません(体質は共通しない)が、一緒に生活していて食べ物や運動など生活習慣が似通っています。配偶者が糖尿病の時に糖尿病を発症するリスクについてメタ分析した成績が発表されましたので紹介します(BMC Medicine 2014)。
つまり、配偶者が糖尿病であると、ご自身の糖尿病発症リスクが26%増えます。配偶者が糖尿病なら、2人共同して生活習慣に注意していくことが望ましいと思います。
平成26年1月30日
2705文献から、系統的レビューができる6文献を選んでいます。2つが東アジア、2つが英国、1つが米国のヒスパニック、残り1つがスエーデンの文献です。メタ解析はこの中から糖尿病前状態と糖尿病を区別していない1文献(韓国)を除いた5文献(75,498夫婦、52-74歳)で行っています。
糖尿病の診断が申告に基づくものと、血糖測定に基づくもので多少成績は異なりますが、年齢などで補正を行った時のリスクは1.26でした(血糖測定に基づく文献では1.92)。
つまり、配偶者が糖尿病であると、ご自身の糖尿病発症リスクが26%増えます。配偶者が糖尿病なら、2人共同して生活習慣に注意していくことが望ましいと思います。
平成26年1月30日
蛋白摂取量について
米国糖尿病栄養ガイドラインが改定されました(Diabetes Care 2013)。その中の蛋白摂取量について紹介します。
米国内科学会のCKDガイドラインでも、「軽中等症のCKDでは摂取蛋白量を減らしても末期腎障害への進展には差がなかった、全死亡にも差がなかった」としています(Ann Intern Med 2013)(CKD:慢性腎臓病)。米国では蛋白摂取量の考えが変わってきています。
平成26年1月10日
(1) 腎障害がない人の理想的な蛋白摂取量はよくわかってない。
(2) 糖尿病性腎症がある人(微量蛋白尿、顕性蛋白尿)の蛋白摂取量は 通常の蛋白摂取量から、さらに下げることは推奨しない。
(3) 蛋白は血糖を上げずにインスリン分泌を増加させるので、低血糖の治療・予防に蛋白を多く含む炭水化物は使うべきでない。
米国内科学会のCKDガイドラインでも、「軽中等症のCKDでは摂取蛋白量を減らしても末期腎障害への進展には差がなかった、全死亡にも差がなかった」としています(Ann Intern Med 2013)(CKD:慢性腎臓病)。米国では蛋白摂取量の考えが変わってきています。
平成26年1月10日
尿蛋白のスクリーニング
米国内科学会がCKDガイドラインを発表しています(Ann Intern Med 2013、CKD (chronic kidney disease)は慢性腎臓病の略です)。1985年から2011年まで英文で発表された論文からまとめたものですが、簡単にその勧告を紹介しますと、
糖尿病があると腎障害を起こす危険性(リスク)が高いのですが、「ACE-IやARBを服用している人には尿蛋白を検査することに反対する」と言い切っています。「検尿してもメリットがない」という主張で、腎障害の早期発見や経過観察をする必要がないと考えています。
皆様はどうお考えでしょうか。
平成26年1月8日
勧告1:CKDリスクのない無症状の成人には、CKDのスクリーニングを行わない(スクリーニングは、症状が現れる前に病気を発見するための検査のことです)。
勧告2:糖尿病があってもなくても、ACE-IやARBを服用している成人には尿蛋白の検査を行わない(ACE-I、ARBは高血圧の薬で、腎保護作用があります)
勧告3:高血圧がある軽中等症CKDの人にはACE-IあるいはARBを推奨(軽中等症のCKDは推定GFRが30ml/min/1.73m2以上の方です)。
勧告4:LDLコレステロールが高い軽中等症CKDの人にはスタチンを推奨(スタチンはコレステロールを合成する経路を抑制する薬です)。
糖尿病があると腎障害を起こす危険性(リスク)が高いのですが、「ACE-IやARBを服用している人には尿蛋白を検査することに反対する」と言い切っています。「検尿してもメリットがない」という主張で、腎障害の早期発見や経過観察をする必要がないと考えています。
皆様はどうお考えでしょうか。
平成26年1月8日