院長ログ

肥満パラドックスと心血管系疾患

以前に「肥満パラドックス」を紹介しました。肥満パラドックスは「太っていると生活習慣病が増えて死亡リスクが増えるはずなのに、疫学調査では太っている方が長生きする」という表面上の矛盾のことです。実際には肥満パラドックスはありません。 肥満パラドックスは「体調を崩して体重が減った人」が「痩せている群」に紛れ込むために生じると考えられています。

この仮説を支持する論文をもう一つ紹介します(PLOS ONE 2017)。対象は50歳以上の米国人30,529人(退職者健康研究)です。心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、虚血性心疾患を起こしている人を対象に肥満と死亡リスクを検討しました。正常体重と肥満度クラス1(BMI30以上、35未満)の比較です。

調査開始時の体重で検討しますと、太っている方が18-36%ほど死亡が少なくなり、明らかな肥満パラドックスが認められました。これが従来見ていたものです。

脳心血管系の病気になると体重が減ります。そこで病気が診断される前の体重をもとに肥満と死亡リスクを検討しました。そうしますと肥満パラドックスが消失しました

やはり太っているのは良くありません。


平成30年6月29日

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