院長ログ

ちょこちょこ運動 対 まとめて強い運動

2型糖尿病の人には「30分毎に軽い運動をして、続けて座っている時間を短くする」ことが勧められる話をしました。新しい論文(Diabetologia 2017)が出ましたので、紹介します。

この論文では19人の2型糖尿病の人が参加しました。3つの異なる運動条件で糖代謝を比べていますが、その条件は、(1) ずっと座っている(座っている時間が14時間)、(2) 座っている時間のうち、1.1時間を中等度〜激しい運動に振り替える、(3) 同じく4.7時間を立位〜軽い運動に振り替える の3つです。

(1) はただ座っているだけです。(2) は朝食2時間後に自転車漕ぎ(エルゴメーター)をしてもらいました。(3) は、できれば30分で座っているのを中断するよう指示がされています。座りっぱなしにならないで立ち上がったり歩いたり、軽い運動をちょこちょこするよう、お願いしたわけです。

全員が3つの試験を行いましたが、試験の順序は無作為(ランダム)で、各試験の間に10日間の休みをとりました。各試験では、それぞれの運動条件を4日間続け、4日目に24時間血糖連続測定、5日目朝に血液生化学検査の採血をしています。

まず24時間血糖増分面積を計算しました。血糖増分面積は空腹時血糖を基準として、その値から増えた分の血糖と時間の面積を計算したもので、運動によって血糖増加がどれだけ抑えられたかをみるための指標です。(1) が1974、(2) が1383、(3) が1263 minxmmol/lでした。(1) の「座っているだけ」が最も悪いのは当然ですが、(3) の「ちょこちょこ運動」も (2) の「まとめて強い運動」も同じだけ血糖改善効果がありました。

次にインスリン抵抗性をHOMA2-IRで判定しました。インスリン抵抗性は2型糖尿病を特徴づける病態の一つです。HOMA2-IRは、(1) が2.16、(2) が2.06、(3) が1.89でした。 (1) の「座っているだけ」に比べると、(2) の「まとめて強い運動」は効果がなく、(3) の「ちょこちょこ運動」だけがインスリン抵抗性を改善させました。 

まとめますと、「座っている時間が30分まで」という制約つきですが、強い運動でなくても、細切れのちょこちょこ運動で十分に効果があるようです。この論文では、糖尿病で推奨される運動量より強い運動が使われました。3条件の差を短期間で出すためと思いますが、通常の運動量でも同じような成績が続くことを期待します。 


平成29年2月16日

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