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座っている時間が長い人の糖尿病発症リスク

座っている時間が長い人は糖尿病を発症しやすいでしょうか。

これまで「テレビを見ている時間」と「糖尿病発症リスク」をみた研究がありました。「テレビ時間」が2時間増えると糖尿病発症リスクが20%増えると報告されています。しかし、「テレビ時間」はテレビを見ながらスナックを食べるなど、身体活動以外の影響も含まれます。今回発表された研究(Diabetologia 2017)では、「座っている時間」と「糖尿病発症リスク」の関連を分析しました。

対象は28,051人の成人集団(ノルウェー、HUNT研究)で、11年ほど観察しています。座っている時間が自己申告であるところがデータとして弱いかもしれません。

結果を見ますと、「一日8時間以上座っている人」は「4時間以下の人」より17%糖尿病発症リスクが高くなりました(年齢、性、学歴で補正)。しかし余暇の身体活動、BMI(体格指数)も含めて補正すると有意でなくなりました。

次にBMIの影響があるかを検討しましたが、「座っている時間」と「糖尿病発症リスク」の関連はBMIで差を受けませんでした。大きな影響があったのは、余暇の身体活動です。

余暇の身体活動があまりない人(週あたり2時間以内の軽い運動、強い運動なし)で「一日8時間以上座っている人」は「4時間以下の人」と比べて糖尿病発症リスクが30%増えました。しかしよく活動している人(週当たり3時間以上の軽い運動、強い運動も含む)では関連がありませんでした

まとめますと、座っている時間自体は糖尿病発症リスクをそれほど上げませんでしたが、「余暇の身体活動が低い人」は要注意です。もともと運動をあまりしない人は余暇に運動するのが良いかもしれません。

ところで、上のお話は糖尿病になる前の人が対象です。すでに糖尿病になってしまっている人ではどうでしょうか。昨年発表されたアメリカ糖尿病学会の意見表明書(ポジションステートメント、Diabetes Care 2016)では、「2型糖尿病で長く座る人は30分毎の軽い運動」が勧められています。仕事で長時間座らざるを得ない人は30分毎の運動が難しいかもしれませんが、できる範囲でこまめに身体をうごかしてみましょう。


平成29年1月24日

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