ペットの糖尿病と飼い主の糖尿病
すでに「肥満は交友関係を通じて拡がる」論文(NEJM 2007)や「夫婦の糖尿病」の論文 (BMC Medicine 2014)がありますが、これは「ペットと飼い主の糖尿病」の話です(BMJ 2020)。
共通するのは「生活習慣の共有」でしょうか。
スエーデンの研究です。208,980人の飼い主/イヌ、123,566人の飼い主/ネコのペアが対象です。イヌの飼い主の7.7人/1000人・年、ネコの飼い主の7.9人/1000人・年が2型糖尿病をもっていました。ペットの糖尿病は、イヌで1.3匹/1000匹・年、ネコで2.2匹/1000匹・年でした。
まずペットがイヌの場合です。飼っているイヌが糖尿病の場合、飼い主も糖尿病であるハザード比は1.38(1.10-1.74)、多変量で補正して1.32(1.04-1.68)でした(飼い主の糖尿病も多い結果です)。
逆に飼い主が糖尿病である場合、ペットのイヌが糖尿病であるハザード比は1.28(1.01-1.63)でしたが、飼い主の年齢で補正すると1.11(0.87-1.42)と関連が薄くなりました。
ネコの場合、飼い主との糖尿病関連を全く認めませんでした。
考えてみますとイヌとは散歩を共有しますが、ネコとは散歩しません。生活習慣の共有がネコでは少ないことの現れかもしれません。
以上をまとめますと、「糖尿病のイヌ」の飼い主は糖尿病になりやすいようです。イヌを糖尿病にしないようによく散歩させましょう。自分も一緒に運動しましょう。
令和3年1月2日