ナッツ類摂取と死亡率
対象と観察年は、(1) 看護婦さんの集団(1980-2010年)76,464人、(2) 男性医療従事者の集団(1986-2010年)42,498人です。ナッツ類は木になるナッツ類(くるみ、ハーゼルナッツ、アーモンド)とマメ科のピーナッツを分けて検討しています。
結果ですが、木になるナッツ類とピーナッツは同じ効果がありました。まったくナッツ類を食べない人の全死亡リスクを1とすると、1週間に1回未満しか食べない人が0.93、1回食べる人が0.89、2-4回食べる人が0.87、5-6回食べる人が0.85、7回以上食べる人が0.80でした。
癌、心疾患、呼吸器疾患による死亡リスクも、ナッツを食べる人でそれぞれ低くなっていました。年齢、肥満度、身体活動度、飲酒量などで分類した下位集団でも同様の結果でした(全部で11下位集団を分析)。
観察研究ですので、因果関係を示したものではありません。ナッツ類以外の影響も考えられますが、プロペンシティスコアを計算して(解析偏りをなくす統計学的手順)しても、下位集団を分析しても結果は同じですので、ナッツ類以外が影響した可能性は少ないと考えられます。
なお、この研究ではナッツ類を多く食べている人の方が痩せています。ナッツ消費と腹囲減少、体重減少の関連は他にも報告があり、カロリーの摂り方が自然に調整されているのかもしれません。
平成26年2月22日
蛋白摂取量について
(1) 腎障害がない人の理想的な蛋白摂取量はよくわかってない。
(2) 糖尿病性腎症がある人(微量蛋白尿、顕性蛋白尿)の蛋白摂取量は 通常の蛋白摂取量から、さらに下げることは推奨しない。
(3) 蛋白は血糖を上げずにインスリン分泌を増加させるので、低血糖の治療・予防に蛋白を多く含む炭水化物は使うべきでない。
米国内科学会のCKDガイドラインでも、「軽中等症のCKDでは摂取蛋白量を減らしても末期腎障害への進展には差がなかった、全死亡にも差がなかった」としています(Ann Intern Med 2013)(CKD:慢性腎臓病)。米国では蛋白摂取量の考えが変わってきています。
平成26年1月10日
北米のハーブ製品(サプリ)の半数は偽物?
DNAバーコーディングは、特定の遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を用い、標準参考物質のライブラリーと比較して生物種を同定する技術です。
(1) 不純物が混入している製品が59%ありました(ラベルにない植物種を含む割合)。
(2) 本物のハーブが入っている製品は48%しかありませんでした(ラベルどおりの植物種を含む割合)。
(3) 本物のハーブを含む製品の1/3はラベルにない不純物や賦形剤を含んでいました。
(4) 代用品のハーブが使われている製品は68%ありました(代用の植物種を含む割合)。
(5) 代用や不純物がなく、ラベル通りの内容の製品は2会社だけでした。
中には健康被害が予想される製品もありました。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の製品で、センナ(下剤)しか含まれていない製品がありました。ナツシロギクが混入している製品がありました(ナツシロギク(風邪のハーブ)は、副作用が多いハーブです)。クルミが混入している製品もありました(ハーブ園の区切りに植えているクルミが混入した可能性大です。ナッツアレルギーのある人には危険です)
平成25年11月22日
果物、果糖、砂糖について (米国糖尿病学会の新しい栄養勧告)
この勧告では 果糖を2種類に分けています。
(1) 果物にみられるような自然界の遊離果糖、
(2) 砂糖、果糖ブドウ糖液糖
「果物に代表される遊離果糖は、同カロリーの砂糖やデンプンに比べて血糖コントロールを改善する。摂取量が全カロリーの12%超でない限り、中性脂肪増加を来さない。」 → つまり、カロリーに注意すれば果物の強い制限は不要でしょう。
「一方で砂糖、果糖ブドウ糖液糖を含む飲料は体重増加をきたし易く、メタボリックシンドロームの原因になりやすい。」→ つまり、清涼飲料水は控えるのが賢明です。
砂糖の項目では、「食品中のデンプンを砂糖に変えても、カロリーの35%以内なら血糖や脂質に影響を与えない。しかし砂糖を含む食品はカロリーの高い食品が多く、カロリーの注意と「健康的な食事の摂り方」から外れない注意が必要。」→ つまり、砂糖は健康的食事から外れる食品に多く使われていて注意が必要ですが、通常の調理に使う分はそれほど神経質になる必要はなさそうです。
DASH食についてですが、「糖尿病患者におけるDASH食はあまりエビデンスがない。小研究では、HbA1c、血圧、その他の心血管系リスクの減少が認められている」となっています(DASH食:果物、野菜、低脂肪乳製品、全粒穀類、トリ肉、魚、ナッツに重点)。
平成25年11月11日