院長ログ

糖尿病の歴史16 ロロの食事療法 (1)

ジョン ロロはスコットランド軍医です。 陸軍軍医総監まで上り詰め、英国陸軍砲兵隊病院が拡張されるときにはその監査官を務めています。ロロは外科医ですが、彼を有名にしたの外科の仕事ではなく、内科疾患の糖尿病治療です。ロロが考案した食事療法はある程度の成功を示し、以後インスリン発見(1921年)頃まで使われます。

ロロはドブソンの発見(血液も甘い)に着目した最初の人で、「高血糖〜尿糖」が解決すべき代謝上の問題であると考えました。血液の甘さはどこからきたのか?、糖尿病はどの臓器の病気なのか、ロロは「糖尿病は胃の病気であり、糖は胃で野菜から作られる」と考えました。そして諸悪の元になっている「野菜をなくす」食事療法を考えました(1797、1798年)。

最初の患者さんは糖尿病歴が半年、どこに行っても治らず困っていましたが、ロロの食事療法で奇跡が起こりました。治療開始2日めから尿量が12クォート(13L)から6クォート(7L)に減少し、2週間で尿が甘くなくなり、2.5ヶ月後には減っていた体重が増加してきました。2人目の患者さんは、いつ糖尿病になったか分からないほど慢性的な経過がある人でした。彼もロロの食事療法で良くなりますが、最初の患者さんほど劇的ではありませんでした。


平成27年6月30日
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