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糖尿病の歴史5 (古代ローマ: ケルスス)

ケルススは1世紀頃のローマの著述家で、百科事典をいくつか書いています。その中に De Medicina (医学論:医学百科事典)があり、糖尿病がでてきます。西洋における最も古い糖尿病の文章とされますが、彼自身の観察ではなく、周囲に広まっていた知識をまとめあげたものと考えられています。ケルススの医学上の最も有名な仕事は、炎症の4つの徴候(発赤、腫れ、痛み、熱)を記載したことです。この4徴候は今でも大学で習います。 ケルススによる糖尿病の記載を紹介します。

苦痛なく尿量が飲水量を超えると、衰弱と危険が引き起こされる。尿が薄い時は陽だまりか暖炉のそばで運動やマッサージが指示される。入浴は回数を減らし、長く浸からない。食物は収れん性のものを摂り、酸っぱいワインを混ぜずに、夏は冷やして、冬は温めて飲む。食物はすべて最小量にする。腸を浣腸やミルクで動かす。尿が濃い時は運動やマッサージを多くし、風呂に長く浸かり、食べ物やワインを軽くする。 (アレン、他)


ケルススを意識して「ケルススを凌駕するもの」と自らを名づけた人がいます。のちに紹介するパラケルススです。


平成27年1月13日
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