院長ログ

糖尿病の歴史1 (古代エジプト)

最も古い糖尿病の記載は紀元前1550年頃のエベルスパピルスに見られます。エベルスパピルスはエジプトのルクソール、古代都市のテーベで1872年に発見されました。

その記載をみると、多尿をきたす疾患で、「最もひどいときは、身体がやせ衰える病気がある。その患者を診察しても、肋骨が浮き出る以外に何の所見もない」とあります。当時、多尿(尿量が多い)は頻尿(回数が多い)と区別されていません。溢尿性疾患(尿を出し切ることができず、ちょびちょび尿が出る)の記載もあり、尿が多いだけで糖尿病と診断できません。

「何の所見もない」は、外傷や明らかな病的臓器がないという意味でしょう。 「体重減少をきたす原因不明の多尿疾患」と記述されてようやく糖尿病と結びつきます。強いインスリン欠乏状態にあると思われます。

原文(カーペンター) ではこの後に呪文を唱え、薬の調合が続きます。


平成26年12月26日
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