院長ログ

女性の心血管系疾患

女性は閉経後に動脈硬化が進行しやすくなり、男性に追いついていきます。心血管系疾患は男性に多い病気という印象がありますが、しっかりと女性の病気です。死亡原因をみると、心血管系疾患で亡くなる方は女性も男性と同じくらいなのです。ヨーロッパで例外はフランス、オランダ、スペインくらいです(Diabetologia2013)。動脈硬化は女性の病気でもあるのです。

日本の人口10万人当たりの死亡率を紹介します(平成20年)。心血管死亡率は男性140.1、女性148.4人です。脳血管死亡率は男性99.4、女性102.1人です。脳+心血管疾患の死亡率(合計)は男性239.5、女性250.5となり、ほぼ同数です。(参考:悪性疾患の死亡率は、男性335.8、女性211.6人)

糖尿病は動脈硬化を促進させます。糖尿病があると心筋梗塞後の方と同じくらいに(2-3倍ほど)動脈硬化が起こりやすくなります。そして、糖尿病の影響は女性のほうが男性より大きいことが知られています。

なぜ女性で影響が強くなるのか、はっきりしていません。「女性では男性より肥満が強くならないと糖尿病にならないからだ」と提案する人もいます。この意見に従えば、糖代謝に付随する代謝異常が女性の方が強いからということになります(Diabetologia2013)。


平成25年8月6日
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