チルゼパチドの糖尿病予防効果はとても大きい
チルゼパチド(マンジャロ)という糖尿病の薬があります。 「GLP1受容体作動薬+GIP受容体作動薬」の働きをもつ薬ですが、多様な働きがあることが知られています。米国では抗肥満薬としても使われ、その場合はマンジャロでなく、ゼップバウンドという名前で販売されています。
チルゼパチドを3年間使用して、体重への効果、2型糖尿病の発症、安全性を検討した論文が発表されましたので、紹介します(NEJM 2024)。
第3相治験の成績です。対象者は2539人で、うち1032人が糖尿病予備軍です。治験は無作為二重盲検法で行われました。チルゼパチド5mg、10mg、15mg、偽薬(プラセーボ)群に1:1:1:1に振り分け、チルゼパチドあるいは偽薬を176週投与し、投与中止後17週まで観察しました。
176週の時点で、チルゼパチド5mg、10mg、15mg群および偽薬群は、-12.3%、-18.7%、-19.7%、-1.3%の体重変動がありました。分かりにくい書き方ですが、チルゼパチドの減量効果が高いことがわかります。
糖尿病発症に対する効果を検討しました。偽薬群では13.3%の人が糖尿病を発症しましたが、チルゼパチド群(全体)はわずか1.3%でした。発症予防効果は93%でした。投与中止後17週で検討すると、糖尿病発症はそれぞれ13.7%、2.4%でした(発症予防効果88%)。
最も多かった副反応は軽度〜中等度の消化管症状で、チルゼパチドを増量していく最初の20週に多くみられました。新しく発見された副反応はありませんでした。
令和7年1月22日
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