新しい血圧の薬の開発
降圧薬を重ねてもなかなか下がらない高血圧の人がいます。治療抵抗性高血圧と呼ばれていますが、多くはナトリウム貯留性高血圧です。
ナトリウム貯留に関連するのはレニン〜アルドステロン系です。アルドステロンを何とか抑えたいところです。
まず アルドステロン受容体拮抗薬です。アルドステロンの働きを抑えます。古くからあるアルダクトンAは望ましくない作用もあり、使いにくい薬でした。そこで、セララやミネブロのような副作用の少ない選択的アルドステロン受容体拮抗薬が開発され、使いやすくなってきました。
アルドステロン拮抗薬は良い薬ですが、血中アルドステロンを増やして良くない作用をもたらす可能性があります。そこで、新しい薬としてアルドステロン合成を阻害する薬が考えられました。
開発にあたっての問題点は、アルドステロン合成酵素がコルチゾール合成酵素と似ていることです(93%の相動性)。アルドステロン合成だけを抑え、コルチゾール合成を抑えない薬剤の開発は難しいとされてきました。その開発が進んでいます。
アルドステロン合成阻害薬 、バクスドロスタットの第2相試験の結果が発表されました(NEJM 2023)。1mg投与群で収縮期血圧が17.5mmHg、2mg投与群では20.3mmHg下がっています(偽薬は9.4mmHg低下)。血清カリウム値に注意する必要がありますが、その他に目立った有害作用はありませんでした。
開発が続いて薬になると良いですね。
令和5年2月3日
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