院長ログ

果糖について

果糖と聞くと果物を連想してフレッシュでヘルシーなイメージがありますが、本当は身体にあまり良くない物質です。
 
化学式はブドウ糖と同じC6-H12-O6で、カロリーもブドウ糖と同じです。構造にケトン体を持つケトースですが、異性化によりアルドースに変化し、還元性をもちます。環状構造をとらない割合がブドウ糖よりも多く、ブドウ糖より反応性に富みます。約10倍も糖化反応が進むと言われています。食品加工では有用な反応(メイラード反応:食品のおいしさに関係します)ですが、生体にとっては望ましくありません。

果糖は消化管から吸収されると、肝臓で直ちに代謝されます。

ATP + 果糖 → ADP + (果糖-1-リン酸)

この代謝はとても速く、細胞内のATPをかなり消費してまで反応を進めます。反応性に富む果糖を早くなくすための合目的な努力です。このときATPの消費が大きくなると、ATPの再合成が追いつかなくなり、ATPの分解が亢進して尿酸が増加します。実際、果糖の摂取が多くなると痛風が増えることが報告されています(BMJ2008)。この論文では果糖を多く含む果物(リンゴやオレンジ)でも痛風リスクが増加することを報告しています。

ATP:プリン体の一種で、生体内ではエネルギー貯蔵物質として働いています。分解すれば、最終的に尿酸になります。
果物には栄養学的に良いところがありますので、「果物を控えましょう」と短絡しないよう、お願いします。


平成25年2月22日
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