インフルエンザは心筋梗塞の引き金になる
呼吸器系の病気が急性心筋梗塞の引き金になることがあります。インフルエンザにかかった時の心筋梗塞リスクについて論文が出ましたので紹介します(NEJM 2018)。
こういった研究ではインフルエンザ感染が正確に診断されているかが問題になりますが、今回の研究ではオンタリオ公衆衛生検査室、大学病院検査室でインフルエンザ感染を確認していて、精度の高い診断です。
上記検査室に呼吸器系ウィルス検査が提出された277,982検体のうち、148,307検体にインフルエンザ検査が行われ、19,729検体がインフルエンザ陽性でした。2W内にも検査が提出されてインフルエンザ陽性だった684検体を除き、また提出の前後各1年(2年間:下記のリスク期間とコントロール期間)に心筋梗塞を起こさなかった18,546検体を除いた499検体提出者で分析が行われました。
インフルエンザが検出された日を起点として、7日間をリスク期間とし、その7日間を除く前後各1年(2年間)をコントロール期間としました。
インフルエンザにかかって7日以内の心筋梗塞リスクは、6.05(3.86-9.50)と大きく増えていました。ウィルス別に細かくみると、インフルエンザBで10.11(4.37-23.38)、インフルエンザAで5.17(3.02-8.84)、RSウィルスで3.51(1.11-11.12)、その他のウィルスで2.77(1.23-6.24)でした。なお年齢別にみると、65歳以上で心筋梗塞が増えていました(若い成人では増えませんでした)。インフルエンザBのほうがインフルエンザAより悪い成績に見えますが、検出力の問題があってそうとは言えないそうです。
平成30年2月15日
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