トランス脂肪酸を減らしましょう
トランス脂肪酸は主に植物油を加工するときにできる脂肪酸で、LDLコレステロールを増加させ動脈硬化を促進します。たちの悪い脂肪酸で、国あるいは地域によって規制の対象になっています。
今回の話題は「トランス脂肪酸を法律で規制したら、脳心血管イベントが実際に減った」ことをニューヨーク州で観察した研究です(JAMA Cardiol 2017)。
実はニューヨーク州の全ての郡(郡:州の下位の自治体組織)がトランス脂肪酸を規制したのではありません。規制した郡もありますが、規制しなかった郡もあります。この研究は、規制した郡と規制しなかった郡で「心筋梗塞あるいは脳卒中による入院」がどのように違っていったかを比べました。
規制した郡の成人数は840万人(11郡)、規制しなかった郡の成人数は330万人(25郡)です。トランス脂肪酸を法律で規制して3年以上経過してから、有意に脳心血管イベントによる入院が減少しました。規制した郡では規制しなかった郡と比べて、
心筋梗塞+脳卒中:-6.2%(-9.2~-3.2)
心筋梗塞:-7.8%(-12.7~-2.8)
脳卒中:-3.6%(-7.6~0.4)
ほど少なくなりました。
トランス脂肪酸は、液体の油を水素添加して(半)固形にした油脂(マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなど)、またこれらを使って作られたパン、ケーキ、ドーナツ、揚げ物などに多く含まれています。我が国では、女性の24.4%、男性の5.7%が総エネルギー摂取量の1%を超え、過剰摂取と考えられています。摂取量が多いと思われる方は、どうぞ注意して下さい。
平成29年11月7日
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