院長ログ

高尿酸血症と健康リスク:包括的レビューの紹介

エビデンス(しっかりした証拠)に基づいた医療EBMが提唱されています。この考えかたは悪くないのですが、新しいエビデンスが出るたびに治療方針がぶれて落ち着かないことがあります。複数のメタ分析論文が異なる結論を出しているときは、特に困りますね。

この問題を解決する方法の一つとして、包括的レビュー(アンブレラレビュー)が開発されました。最高位レベルのエビデンス(系統的レビューやメタ分析)のみを取り上げ、多様なエビデンスを質的および量的に吟味する方法でジョアンナ ブリッグス研究所で開発されました。

今回は尿酸を取り上げます。尿酸は心血管系疾患、メタボリックシンドローム、糖尿病、癌など、とても広い疾患との関連性が提唱されたり否定的されたりしてきました。こういう時はどう考えていけば良いでしょうか?

包括的レビューはこういう時の考え方を教えてくれます。今回発表された論文(BMJ 2017)は多くの論文を検討しています。検討した観察研究は57論文あり、それは15扁の系統的レビューと144扁のメタ分析を扱っていて76の特異的アウトカムを出しています。ランダム化研究は8論文検討し、それらは31扁のメタ分析を扱っていて20の特異的アウトカムを出しています。また36論文が107扁のメンデルランダム化研究を扱っていて56の特異的アウトカムを出しています。そして全部を合わせると、136もの特異的アウトカムが報告されているそうです。

本当に数が多くて読むだけでも大変ですね。BMJ論文はここが出発点で、ここからこれらの論文を検討していきます。でもややこしいので、ここでは結論だけ紹介します。

結論:尿酸値と健康上のアウトカムを取り扱っている論文(系統的レビュー、メタ分析、メンデルランダム化試験)は数百あり、136もの特異的なアウトカムを報告しているが、はっきりしていて誰もが納得するアウトカムは痛風と尿路結石だけである。


平成29年9月4日

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