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糖尿病の歴史22 中国の糖尿病の歴史(3)

外台秘要(752年)は唐の時代に王燾(おうとう)が編集した処方集です。外台秘要に糖尿病では尿が甘いこと、治療後の判定に尿の状態を用いることが記されています。西洋医学で初めて尿を舐めたウィリスの900年前の記述です。


《外台秘要》卷第十一

近效祠部李郎中消渴方一首
消渴者。原其发动。此则肾虚所致。每发即小便至甜。医者多不知其疾。(消渇は、もと、その発動は此れすなわち腎虚の致すところなり。発する毎に即ち小便甜きに至る。医者多くはその疾を知らず。)

消中消渴肾消方八首
、、、得小便咸苦如常(小便減もしくは常の如きを得る ):服薬後の治療効果判定が書かれています。


消渴不宜针灸方一十首
千金论曰∶凡消渴病经百日以上者。不得灸刺。灸刺则于疮上漏脓水不歇。遂成痈疽。(千金論曰く:凡そ消渇の病、百日以上経る者は灸刺を得ず。灸刺すれば即ち于瘡上漏し、膿水歇ず。遂に癰疽と成る)


糖尿病患者に鍼灸治療をしてはならないことまで書かれています。 糖尿病になると感染症に弱くなります。そこに不衛生な処置をすれば容易に皮膚感染症をおこします。于瘡は「おでき」のことで、于瘡の集まったものが「よう(癰)」です。「100日以上糖尿病を患う人に鍼灸治療すればおできができ、上に破れて排膿し、膿の止むことがなく、遂に「よう」〜皮下膿瘍になる」リスクが書かれています。


平成27年7月28日
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