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糖尿病の歴史37 インスリンの発見

ゲオルグ ツュルツァー、アーネスト スコット、ニコラス パウレスコなどインスリン発見の手前まで来た人たちがいましたが、最終的にトロントのフレデリック バンティングチャールズ ベストたちがインスリンを発見します(1921年)。インスリンは糖尿病性昏睡状態のトンプソン君に使われて劇的な効果を発揮します(1922年) 。

このあたりの話も実はややこしくて、バンティングとベストが抽出したインスリン製剤はトンプソン君にほとんど効果がありませんでした。長期休暇(サバティカル)でたまたま研究室を訪れていたジェイムズ コリップが精製した製剤が成功したのです。このとき研究室を主宰していたジョン ジェームズ リチャード マクラウドとバンティングの間に争いが起こっていました。

インスリン抽出に成功したトロントグループですが、インスリン精製はできたりできなかったりで、危うい難しいものでした。ここを手助けして製品化したのがイーライ リリー社です。

インスリン発見の経緯はマイケル ブリスがくわしく述べています(The Discovery of Insulin by Michael Bliss 1982年)。大冊ですが、翻訳もありますので、興味のある方はどうぞ読んでみてください。「インスリンの発見(マイケル・ブリス著 堀田饒訳、朝日新聞社 1993年)」。私は30年前にペンシルベニア大学図書館でこの本をみつけ、興奮しながら読んだことを思い出します。

当時の雰囲気を患者、家族目線から知りたい方には「ミラクル エリザベス・ヒューズとインスリン発見の物語、日経メディカル開発 2013年」をお勧めします。性格が破たんしてトラブルを引き起こすバンティングも暖かい目で描かれています。

糖尿病の歴史もようやくインスリン発見まできました。ここでいったん歴史はお休みします。


平成28年4月14日

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