禁煙は認知症予防になる
タバコと認知症の関連については、勘違いしている人もあるかと思います。というのは、タバコ会社が資金を提供した初期研究で、喫煙は認知機能にとって良い影響がある、アルツハイマー病予防効果があるとした研究があるからです。
しかしそれらの報告は、その後のコホート研究で覆されました。喫煙は認知症のリスク因子です。最近のメタ分析でも「喫煙が認知症のリスク因子である」と発表されています。
今回認知症に対する禁煙効果が発表されましたので紹介します(Annals Clin Transl Neurol 2018)。
舞台はお隣の韓国です。60歳以上の46,140人男性が参加し、8年ほど観察しています。参加者を4グループに分類しています。内訳は、喫煙継続者12,672人、短期間禁煙(4年未満)4,175人、長期間禁煙(4年以上)9,268人、非喫煙者20,025人です。
全認知症疾患リスクは喫煙継続者と比べて、長期間禁煙者で0.86(0.75-0.99)、非喫煙者で0.81(0.71-0.91)と減少していました。
認知症の病型別でみても禁煙が良いようです。アルツハイマー病のリスクは喫煙継続者と比べて、非喫煙者で0.82(0.70-0.96)と低く、長期禁煙者のリスクは0.85(0.71-1.02)で減少傾向でした(傾向検定有意)。
血管性認知症のリスクは喫煙継続者と比べて、長期間禁煙者で0.68(0.48-0.96)、非喫煙者で0.71(0.54-0.95)でした。
是非禁煙をお勧めします。
平成30年10月10日