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ランタスのバイオ後続品

欧州医薬品庁のヒト用医薬品委員会はEli Lilly/Boehringer Ingelheim社から申請されていたランタスのバイオ後続品(Abasria)を認可するようEUに推薦しました(平成26年6月27日)。Abasriaは、初めてのバイオ後続品インスリンです。

ランタスは持効型のインスリン製剤(グラルギンインスリン)で、基礎インスリン分泌を補充するのに使われます。Eli Lilly(イーライリリー)社は1923年からインスリンを作っていて、インスリンに関するトップ企業です。

バイオ後続品(biosimilar)」という言葉はなじみが少ないかもしれません。「ジェネリック医薬品(後発品、後続品)」と似ていますが、まったく同じでないので簡単に説明します。

ジェネリック医薬品は小分子の化合物で、構造的にまったく同一の分子を含 みます。これに対してバイオ後続品は蛋白質などのように大きな分子で複雑です。生きた細胞に医薬品の構造遺伝子を組み込んで作りますが、同じ遺伝子情報を 導入しても作られてくるものが微妙に異なります。そのためジェネリック品と異なる取り扱いをします。料理にたとえると、同じレシピーで作っても、環境に よって味が違うようなものです。


インスリンは結構高価ですので、信頼できる企業がバイオ後続品を出すことは歓迎です。日本ではいつになるでしょうか?


平成26年7月4日

吸入インスリンが米国で認可

米国FDA(食品医薬品局)が吸入インスリンを認可しました。作った会社はカリフォルニアにあるMannKind Corpで、Afrezzaという名前です。ヒト型速効型インスリンで、吸入後12-15分内にピークがあります。4U製剤(青カートリッジ)と8U製剤(緑カートリッジ)があり、専用の吸入器を用いて食事前に吸入します。

最も多い有害反応は、低血糖(これは主作用です)、咳、咽頭痛、咽頭違和感です。喘息や閉塞性肺疾患の人では気管支痙攣をおこす可能性があり、警告がついています。注射の嫌いな方には朗報かもしれません。(最初の吸入インスリンはExuberaですが、コストが高く販売中止になっています)


平成26年7月2日

北米のハーブ製品(サプリ)の半数は偽物?

ハーブ製品を使ってられる方もおられると思います。これは北米の話ですが、日本ではどうでしょうか。新しい技術(DNAバーコーディング)を使って北米で売られているハーブ製品(12会社の44製品、30種のハーブ)を分析した報告です(BMC Medicine 2013)。

DNAバーコーディングは、特定の遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を用い、標準参考物質のライブラリーと比較して生物種を同定する技術です。


(1) 不純物が混入している製品が59%ありました(ラベルにない植物種を含む割合)。
(2) 本物のハーブが入っている製品は48%しかありませんでした(ラベルどおりの植物種を含む割合)。
(3) 本物のハーブを含む製品の1/3はラベルにない不純物や賦形剤を含んでいました。
(4) 代用品のハーブが使われている製品は68%ありました(代用の植物種を含む割合)。
(5) 代用や不純物がなく、ラベル通りの内容の製品は2会社だけでした。


中には健康被害が予想される製品もありました。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の製品で、センナ(下剤)しか含まれていない製品がありました。ナツシロギクが混入している製品がありました(ナツシロギク(風邪のハーブ)は、副作用が多いハーブです)。クルミが混入している製品もありました(ハーブ園の区切りに植えているクルミが混入した可能性大です。ナッツアレルギーのある人には危険です)



平成25年11月22日

米国のEPA製剤

日本では以前からEPA製剤が発売されていますが、これは米国の話題です(EPA:エイコサペンタエン酸、 ω3系統の多価不飽和脂肪酸、高脂血症の薬です)。


米国FDAは昨年7月にEPA製剤を高度(中性脂肪が500mg/dl超)の高中性脂肪血症の治療に認可しました。認可したEPA製剤はアイルランドのアマリン社が製造する半合成EPA製剤です。同社は中等度(中性脂肪が200-499mg/dl)の高中性脂肪血症にも使えるよう、適応の拡大を申請しましたが、FDAは圧倒的多数でこれを否決しました。

FDAの見解は、「中性脂肪を下げることは間違いない。しかし、心血管系イベントが実際に抑制されるかデータがない。従って、今回の認可を拒否する」です。


スタチン系薬剤でコレステロールを十分に下げてしまうと、たとえば高中性脂肪血症の薬であるフィブラート系薬剤やナイアシンは際立った効果が示されなくなってしまいます。そのため新薬の承認に最終エンドポイントを用いた評価が必要と考えたのです。米国の承認審査は厳しいですね。

日本ではJELIS試験という研究があり、その研究ではEPA製剤で主要心血管イベント(MACE)が2割減少しています(3.5%→2.8%)。この数字を高いとみるか、低いとみるかは人によって異なるかもしれません。(JELISで使われた製剤はエパデール、エパデールSです)。アマリン社でも同様の成績が出ることを期待します。


平成25年10月25日

JELIS試験がFDAで考慮されなかった理由
ですが、オープンラベル試験であること(厳格な試験でない)、併用されているスタチンが低用量であること(不十分)。この2点がJELIS試験低評価の理由のようです(NEJM 2014)

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